ケンカ+理解×大好き=友情

あっちゃんはただならぬ雰囲気のマナツに、

「そうだけど、なに?」

と、気丈に返事をする。


あっちゃんと共にカウンター裏にいたミサキは、マナツの来店に驚き、私のそばまで駆け寄ってきて耳打ちする。

「マナツって意外に普通の人だね。

もっとキモイの想像してた」

「いや、これはこれでヤバそうだし普通じゃないよ」

と、冷静にツッコんでる場合じゃない。


マナツはユナちゃんにフラれてから、ことごとく彼女に無視されているらしい。

今では着信拒否までされているという。

しびれを切らせたマナツは、ついに、こうしてあっちゃんに会いに来た。


「ユナは、今まで俺がやったモンの金を返す気はナイって言ってる。

でも、それっておかしーだろ?

俺がいるのに、アイツはお前と付き合ったんだ。

なら、それなりの決着は付けてもらわねぇとさ……」

怒りをにじませた表情で得意げにそう言うマナツに、あっちゃんは強気の言葉を放った。

「別れに納得いかないのは分かるけど、それならどうして今までユナのこと大事にしてやらなかったんだよ!

ユナに聞いたけど、お前しょっちゅう女と遊んでたらしいじゃん!

ユナがどれだけ悩んでたか知ってるか?

それを知らないで『金返さなきゃ別れない』って……。好きな女に言うセリフかよ!」

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