ケンカ+理解×大好き=友情
「あ~あ。あっちゃんいないとつまんないね」
いま見た映画のパンフレットをうちわ代わりにしているミサキが、だるそうにつぶやいた。
あっちゃんがマナツと決着をつけた一週間後、
私とミサキは市内で1番大きなアミューズメント施設に来ていた。
ボーリング場やゲーセン、銭湯、映画館が併設されている。
まだ昼間だから、小学生や中学生の団体もたくさんいる。
子供会の行事で来ているのかな?
夏休みも残りわずか。
ヒマを持て余した私とミサキは、映画を見にここまで来たんだけど、
目当ての映画は予告映像を見て期待したほど面白くなく、2人して微妙なテンションになってしまう。
ううん。映画のせいじゃない。
予告の雰囲気と実際の内容が違うなんて、映画にはよくある。
ここにあっちゃんがいないことが、つまらなさに拍車をかけているんだ。
あっちゃんは感受性豊かだから、私たちがつまらないと感じた話でも面白いと思うらしく、その映画の良さを細かく教えてくれる。
価値観の違う友達と映画に行くと、いろんな楽しみを知れる。
知り合ったばかりの頃、私たち3人は金曜日の夜を狙ってよく映画を見に行っていた。
思い出して、なんだか切なくなる。