ケンカ+理解×大好き=友情
夜空の星が見えないくらい繁華街のネオンはきらめき、道行く人々もにぎわっていた。
午後7時。空が暗くなると同時に、私とミサキはあっちゃんが働く居酒屋についた。
夏休み後半に差し掛かったということもあり、店内には私たちみたいな大学生がいっぱいいた。
活発さを絵に描いたようなテンションの高い店員に案内され、座敷タイプの席につく。
適当にから揚げやカクテルを注文してから、私たちは明るい雰囲気が広がる店の中を見回した。
私たちの席から5つのテーブルを挟んだ向こうにある大広間で、忙しそうに動いてるあっちゃんの姿を見つけた。
大広間では社会人らしきスーツ姿の大人たちが、宴会っぽいものをしている。
時折中年の男性に絡まれながら、あっちゃんは終始営業スマイルを振りまいていた。
「あっちゃん、コンビニの仕事よりこっちの方が似合ってるよね」
ミサキは運ばれてきたビールを口にしてからそう言った。
「うん。あっちゃん、楽しそうだね」
ミサキは見た目の麗(うるわ)しさからは想像できないほど、酒なら何でもいける子だ。
私たちは飲んだり食べたりしゃべったりして、あっちゃんのバイトが終わる22時まで店内にいた。