リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
ずふずぶと埋もれるように、明子はソファーに沈み込んだ。
一週間の疲れが吹き飛ぶどころではなかった。

『現実』という重石に、うげぇっと、なんとも無様な悲鳴をあげて、押しつぶされそうだった。


(そんな……)
(夢の欠片もない無残な話なんて、してくれなくてよかったのに)
(いつもの楽しいお茶会で、よかったのに)
(むごい)
(むごすぎる)


明子もまた『自分の現実』に、嫌々ながらも目を向けた。
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