リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
会議の最中。
ときおり、営業部から出席している社員から、明子は好奇心混じりの奇妙の視線を受けることがあった。
なんだろうと気に掛けつつも、そのときは打ち合わせに集中した。
その視線の意味に、明子がなんとなく気付いたのは、帰社する途中の車中だった。
(あー、確か……)
(牧野の前妻さんの浮気相手。営業にいるんだっけ?)
明子は思わず、額に手を当てて、小さくため息をついた。
(やれやれだわ)
(もう、広まったの?)
(会長さん。あっちこっちで喋っちゃったのかしら)
(というか。息子たちに話して、それが営業にいったのかな、流れを考えると)
(そう言えば、三兄弟も顔を出しにきたわね。入れ替わり立ち替わり)
噂の流出経路を予測して、明子はまたため息を吐いた。
(お願いだから、面倒な人。あたしに絡んでこないでね)
(まあ、誰が面倒なのんかは判らないけど)
(というか。それこそ牧野さんに聞いておくべき、かな?)
(とにかく。君島さんが、こっちに入るまでの間だけだから。私が顔を出すのは)
(だから、お願い。絡んでこないでー)
このときの明子の嫌な予感が、ちょっと先だけれど、そう遠くない未来に、空しくも当たってしまうことになるのだが。
それはまた、いつかの話し。
ときおり、営業部から出席している社員から、明子は好奇心混じりの奇妙の視線を受けることがあった。
なんだろうと気に掛けつつも、そのときは打ち合わせに集中した。
その視線の意味に、明子がなんとなく気付いたのは、帰社する途中の車中だった。
(あー、確か……)
(牧野の前妻さんの浮気相手。営業にいるんだっけ?)
明子は思わず、額に手を当てて、小さくため息をついた。
(やれやれだわ)
(もう、広まったの?)
(会長さん。あっちこっちで喋っちゃったのかしら)
(というか。息子たちに話して、それが営業にいったのかな、流れを考えると)
(そう言えば、三兄弟も顔を出しにきたわね。入れ替わり立ち替わり)
噂の流出経路を予測して、明子はまたため息を吐いた。
(お願いだから、面倒な人。あたしに絡んでこないでね)
(まあ、誰が面倒なのんかは判らないけど)
(というか。それこそ牧野さんに聞いておくべき、かな?)
(とにかく。君島さんが、こっちに入るまでの間だけだから。私が顔を出すのは)
(だから、お願い。絡んでこないでー)
このときの明子の嫌な予感が、ちょっと先だけれど、そう遠くない未来に、空しくも当たってしまうことになるのだが。
それはまた、いつかの話し。