リスタート ～最後の恋を始めよう～ 【前編】

ゆっくりと食事をして、テレビ番組を見ながら笑って。
いつもより、じっくりと時間をかけて、ストレッチ。
それからスクワットと腹筋。
それに、今夜は腕立て伏せも追加。
それでも、まだ、二十一時を過ぎたくらい。

なぜか、時間が進まない。

温かいお茶を淹れて、ソファーに膝を抱えて、明子は座り込んだ。


（考えても、仕方ないし）


そう、自分に言い聞かせて、無理やり、頭の中から追い出そうとしている言葉が、アタマの芯にしがみついて出ていかない。
明子の口から、重いため息がこぼれる。