リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「牧野さんは……、お元気ですか?」
沢木が険しくした表情を緩め、牧野を懐かしむように目を細めた。
明子は、大きく、一つ、しっかりと頷いた。
「はい。一昨年、課長になりました。相変わらず、ばっさばっさと、山ほどの仕事を片付けてます」
「彼は優秀ですからね。いずれウチにと、そう、上の者も思っていたんですが」
残念そうな声で続けられた独り言のようにその言葉に、一瞬、明子の顔がぴくりと引きつった。
(そういう意味も、あったのね、あの結婚には)
(というか、奥さんの親兄弟がここにいると言ってたけれど、その親兄弟って、けっこう、すごい立場なんじゃないの?)
(牧野?)
(ん?)
(そう言えば……)
(父親は取締役とか、言っていた、かも?)
その引きつりを気づかれないよう、満面の笑みを浮かべたまま、明子は男たち一人一人に目を向けていく。
沢木が険しくした表情を緩め、牧野を懐かしむように目を細めた。
明子は、大きく、一つ、しっかりと頷いた。
「はい。一昨年、課長になりました。相変わらず、ばっさばっさと、山ほどの仕事を片付けてます」
「彼は優秀ですからね。いずれウチにと、そう、上の者も思っていたんですが」
残念そうな声で続けられた独り言のようにその言葉に、一瞬、明子の顔がぴくりと引きつった。
(そういう意味も、あったのね、あの結婚には)
(というか、奥さんの親兄弟がここにいると言ってたけれど、その親兄弟って、けっこう、すごい立場なんじゃないの?)
(牧野?)
(ん?)
(そう言えば……)
(父親は取締役とか、言っていた、かも?)
その引きつりを気づかれないよう、満面の笑みを浮かべたまま、明子は男たち一人一人に目を向けていく。