リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
(体重、計って、みようかな?)
いざ勝どきの声を密かにあげて、勝利の美酒に酔いしれていた明子は、ふと、そんなことを思いついた。
春の大型連休前にあった健康診断以来、体重計には乗っていない。
というか、この四年間。
健康診断のときにしか、体重計には乗っていなかった。
毎年、毎年、確実に、明子の体重は増え続けていった。
それでも、余裕をかましていた。
(まあ、これくらいならねー)
(その気になれば、すぐに、どうにかなるしぃ)
(問題ないない)
(まったく、なーい)
そんな根拠のない自信を振りかざして、明子は笑って見過ごしてきた。
丸くなっていく顔を。
出てくるお腹を。
そして、自分を甘やかし続けた。
今年の春は、前年より七キログラムちょっと増えていた。
去年は五キログラムくらい。
その前は四キログラムくらい。
忘却の彼方にうっちゃり捨てて、前の年からどれくらい増えているかなんて、まったく気にしていないふりをしていたけれど、じつはしっかりと計算していた。
しばし、考えこんだ明子は、よしと自分に気合いを入れ、ずしんと重い腰を上げて、のっそりと立ち上がった。
そして、意を決して、脱衣所にある体重計の前に立った。
恐る恐る。
デジタル表示のそれに乗る。
目を閉じて。
飛び乗るように。
乗った。
いざ勝どきの声を密かにあげて、勝利の美酒に酔いしれていた明子は、ふと、そんなことを思いついた。
春の大型連休前にあった健康診断以来、体重計には乗っていない。
というか、この四年間。
健康診断のときにしか、体重計には乗っていなかった。
毎年、毎年、確実に、明子の体重は増え続けていった。
それでも、余裕をかましていた。
(まあ、これくらいならねー)
(その気になれば、すぐに、どうにかなるしぃ)
(問題ないない)
(まったく、なーい)
そんな根拠のない自信を振りかざして、明子は笑って見過ごしてきた。
丸くなっていく顔を。
出てくるお腹を。
そして、自分を甘やかし続けた。
今年の春は、前年より七キログラムちょっと増えていた。
去年は五キログラムくらい。
その前は四キログラムくらい。
忘却の彼方にうっちゃり捨てて、前の年からどれくらい増えているかなんて、まったく気にしていないふりをしていたけれど、じつはしっかりと計算していた。
しばし、考えこんだ明子は、よしと自分に気合いを入れ、ずしんと重い腰を上げて、のっそりと立ち上がった。
そして、意を決して、脱衣所にある体重計の前に立った。
恐る恐る。
デジタル表示のそれに乗る。
目を閉じて。
飛び乗るように。
乗った。