リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
(牧野狙いで?)
(ウチの部に、きた?)
(なに、それ?)


理解できない言葉に、自然と明子の眉は中央に寄り集まっていった。

「それって……」

どういうことと聞きかけて、耳が人が郡をなして近づいてくる気配を感じ取り、明子は沼田を促して席についた。
やがて、ぞろぞろと入ったきた一群の中のある人物を見て、沼田はもとより明子でさえも、その場で凍りつき固まった。
和やかに沢木と話をしていたその人物は、明子と沼田の姿を見て、笑いながら近づいてきた。

「準備はできてるか? 笹原くんから、いい出来だと聞いている。楽しみにしてるぞ」

明子と沼田の肩を同時にポンと叩いて。



地獄を見てきた男と囁かれている男、林田義道(はやしだ よしみち)本部長が、明子の隣に座った。


(ま、牧野ーっっっっ!!!)


絶対に許さないんだからっと、明子は密かに拳を握った。
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