リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
ふと、ある物の存在を思い出し、牧野は引き出しをあける。
奥の方に、小さな箱が一つ、隠すように押し込まれていた。
ふたを開け、中に入っている華奢なデザインのブレスレットを、牧野は手に取った。
一片だけ石がはめ込んである四つ葉のクローバーが3つ、等間隔をあけてチェーンの上に並べ置かれていた。
(あいつのかな、やっぱり)
(揃いのブレスレット、なくしたって言っていたよな)
それは、牧野が結婚して間もないころに、会社の廊下で拾ったものだった。
総務課や経理課があるフロアだったので、そこの女性社員の誰かが落としたのだろうと思い、届けてやろうとポケットに入れたものの、経理課長やらなんやらと、あれこれ話し込んでいるうちにすっかりその存在を忘れ、そのまま放置してしまった。
その後、妻の浮気が発覚したとき。
先に浮気をしたのはそっちだと妻から言われ、なんのことだと訝しがる牧野に、妻はスーツに入っていたとそれを牧野に突きつけた。
それでも、すぐには思い出せずにいたくらい、忘れ去っていたものだった。
そんなこんなで、牧野にとっては思い出すのも腹立たしい、曰く付きとなってしまった代物だった。
奥の方に、小さな箱が一つ、隠すように押し込まれていた。
ふたを開け、中に入っている華奢なデザインのブレスレットを、牧野は手に取った。
一片だけ石がはめ込んである四つ葉のクローバーが3つ、等間隔をあけてチェーンの上に並べ置かれていた。
(あいつのかな、やっぱり)
(揃いのブレスレット、なくしたって言っていたよな)
それは、牧野が結婚して間もないころに、会社の廊下で拾ったものだった。
総務課や経理課があるフロアだったので、そこの女性社員の誰かが落としたのだろうと思い、届けてやろうとポケットに入れたものの、経理課長やらなんやらと、あれこれ話し込んでいるうちにすっかりその存在を忘れ、そのまま放置してしまった。
その後、妻の浮気が発覚したとき。
先に浮気をしたのはそっちだと妻から言われ、なんのことだと訝しがる牧野に、妻はスーツに入っていたとそれを牧野に突きつけた。
それでも、すぐには思い出せずにいたくらい、忘れ去っていたものだった。
そんなこんなで、牧野にとっては思い出すのも腹立たしい、曰く付きとなってしまった代物だった。