リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「はい……え? ええ、いますよ、まだ………はい、…はい、判りました」
小林が、一瞬だけ上目使いで明子に目を向けた。その視線に、なんだろうと明子は首を傾げた。
やがて受話器を置いた小林は、立ち上がって牧野の机を物色しはじめた。
「なにか、忘れ物ですか?」
「いや、そうじゃなくてな」
これかと、目的の物を見つけた小林は、手にした社名入れの封筒を明子に差し出した。
「お前に、渡しておいてくれってな」
「なんです?」
「さあな」
そこまで聞いていないという小林の答えに、受け取った封筒の中身をちらりと確認した明子は、さも嫌そうに顔を顰めた。
(こんなもの、渡されても……。ねえ)
林田の言葉が明子の耳に蘇った。
けっきょく、試験を受けろということじゃないのと、少しだけ腹が立ってきた。
小林が、一瞬だけ上目使いで明子に目を向けた。その視線に、なんだろうと明子は首を傾げた。
やがて受話器を置いた小林は、立ち上がって牧野の机を物色しはじめた。
「なにか、忘れ物ですか?」
「いや、そうじゃなくてな」
これかと、目的の物を見つけた小林は、手にした社名入れの封筒を明子に差し出した。
「お前に、渡しておいてくれってな」
「なんです?」
「さあな」
そこまで聞いていないという小林の答えに、受け取った封筒の中身をちらりと確認した明子は、さも嫌そうに顔を顰めた。
(こんなもの、渡されても……。ねえ)
林田の言葉が明子の耳に蘇った。
けっきょく、試験を受けろということじゃないのと、少しだけ腹が立ってきた。