リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「なにが入ってたんだ?」
「簿記試験の案内です。勉強会のスケジュールとか」
「ああ。もう、そんな時期か。そういや、小杉、資格持ってないんだよな。なんでだ?」
「なんでって。別に、昇進に興味ないし」
「まあ、昇進も関係するけど、給料があがるだろうが」
「へ?」
「職能手当て。今よりあがるだろ。まあ、月々の金額にしちゃ数千円だけど、それでも、賞与なんかの計算するときの基本給に含められるもんだし、貰えるものは、貰っておけばいいじゃないか」
小杉なら三級、二級あたりは余裕で取れるだろ。
他意もなくそう言葉を続ける小林に、明子はなるほどと頷いた。
昇進のことばかりを考えていたけれど、簿記の資格は確かに、昇給にも繋がっていることだった。
小林の言うように、単純にそう考えると、少し気楽な気持ちになった。
「そうですね。考えておきます」
「おう。受けるなら、一言言ってくれ。試験対策の勉強会、でたほうがいいだろう。仕事、調整するから」
「ありがとうざごいます」
もう一度、明子は袋の中身にざっくりと目を通した。
(話って、これのことだったのかしら)
(きっと、そうよね)
そんなことを考えながら、それを机の引き出しにしまうと、小林に退社の挨拶をして、明子は会社を後にした。
「簿記試験の案内です。勉強会のスケジュールとか」
「ああ。もう、そんな時期か。そういや、小杉、資格持ってないんだよな。なんでだ?」
「なんでって。別に、昇進に興味ないし」
「まあ、昇進も関係するけど、給料があがるだろうが」
「へ?」
「職能手当て。今よりあがるだろ。まあ、月々の金額にしちゃ数千円だけど、それでも、賞与なんかの計算するときの基本給に含められるもんだし、貰えるものは、貰っておけばいいじゃないか」
小杉なら三級、二級あたりは余裕で取れるだろ。
他意もなくそう言葉を続ける小林に、明子はなるほどと頷いた。
昇進のことばかりを考えていたけれど、簿記の資格は確かに、昇給にも繋がっていることだった。
小林の言うように、単純にそう考えると、少し気楽な気持ちになった。
「そうですね。考えておきます」
「おう。受けるなら、一言言ってくれ。試験対策の勉強会、でたほうがいいだろう。仕事、調整するから」
「ありがとうざごいます」
もう一度、明子は袋の中身にざっくりと目を通した。
(話って、これのことだったのかしら)
(きっと、そうよね)
そんなことを考えながら、それを机の引き出しにしまうと、小林に退社の挨拶をして、明子は会社を後にした。