リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
手早く、海老とキャベツともやしをフライパンに放り込み、塩コショウで味を整えた炒め物を作る。
皿に移して覚ましている間に、梅干入りのおにぎりを作り、弁当箱に作り置きしてあるおかずと、粗熱の取れた炒め物を詰め込む。
その間に、朝食用のトーストを焼き、朝ごはんの準備も進めた。
そうやって、いつもどおりの日常に身をおいて、明子の心はやっと、平静を取り戻した。
身支度を整えた明子が、家を出ようとした瞬間を見計らったように、携帯電話が鳴った。
牧野からの「やっぱり、出社しなくていいや」などというふざけた電話だったら、思い切り、これでもかと文句を言ってやるんだからと意気込んで、肩に掛けたバックの中から携帯電話を取り出すと、母の名がそこにあった。
見つめたまま、明子は息を詰める。
見つからないように、かくれんぼうしているかのように、じぃっと息を詰める。
どうしても、母からの電話に出ようという気持ちになれない。
そのまま、携帯電話を眺めていると、留守番電話に切り替わってらしい。
やがて、携帯電話は静かになった。
思わず、明子の口から安堵の息がこぼれる。
しばらくして確認すると、メッセージが残されているようだった。
後で聞けばいいわねと呟いて、明子は家を出た。
皿に移して覚ましている間に、梅干入りのおにぎりを作り、弁当箱に作り置きしてあるおかずと、粗熱の取れた炒め物を詰め込む。
その間に、朝食用のトーストを焼き、朝ごはんの準備も進めた。
そうやって、いつもどおりの日常に身をおいて、明子の心はやっと、平静を取り戻した。
身支度を整えた明子が、家を出ようとした瞬間を見計らったように、携帯電話が鳴った。
牧野からの「やっぱり、出社しなくていいや」などというふざけた電話だったら、思い切り、これでもかと文句を言ってやるんだからと意気込んで、肩に掛けたバックの中から携帯電話を取り出すと、母の名がそこにあった。
見つめたまま、明子は息を詰める。
見つからないように、かくれんぼうしているかのように、じぃっと息を詰める。
どうしても、母からの電話に出ようという気持ちになれない。
そのまま、携帯電話を眺めていると、留守番電話に切り替わってらしい。
やがて、携帯電話は静かになった。
思わず、明子の口から安堵の息がこぼれる。
しばらくして確認すると、メッセージが残されているようだった。
後で聞けばいいわねと呟いて、明子は家を出た。