リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「それを、やればいいんですか?」
なにかを延々と喋り続けている牧野の声を遮って、明子はそう牧野に問いかけた。
牧野がなにを言っているのかなど、明子にはもうどうでもよかった。
抑揚のない明子の声に、牧野は声を途切らせた。
俯いている明子の表情は判らなかったが、肩がかすかに震えているのが牧野にも判った。
「その仕事、やればいいんですね」
「小杉」
「あとは、なにをすればいいんですか。大塚さん潰して、お嬢様追い払って、その大きな仕事、物にして。それだけやれぱ十分ですか?」
「小杉」
「その仕事、とりあえず、取ってくればいいですよね。そっから先は、他の人を入れてください。私、抜けますから」
顔をあげ、なにも言わない牧野の顔を、明子は真っ直ぐに見つめた。
「それを、最後にしてください。牧野さんのために戦うの。もう、それで最後にさせてください」
「小杉っ」
聞けよっ。
叫ぶようにそう言って、伸ばされた来た牧野の手を、明子を払った。
「遠くに、行く。今度こそ、もう、あなたの影さえ見ない、遠いところに、行く」
今度こそ。
全て、捨てる。
全て、振り切っていく。
未練も。
恋心も。
何もかも。
全てを置いて、行く。
あなたのいない世界に、
行く。
明子は立ち上がると店を飛び出した。
外は、小雨が降っていた。
なにかを延々と喋り続けている牧野の声を遮って、明子はそう牧野に問いかけた。
牧野がなにを言っているのかなど、明子にはもうどうでもよかった。
抑揚のない明子の声に、牧野は声を途切らせた。
俯いている明子の表情は判らなかったが、肩がかすかに震えているのが牧野にも判った。
「その仕事、やればいいんですね」
「小杉」
「あとは、なにをすればいいんですか。大塚さん潰して、お嬢様追い払って、その大きな仕事、物にして。それだけやれぱ十分ですか?」
「小杉」
「その仕事、とりあえず、取ってくればいいですよね。そっから先は、他の人を入れてください。私、抜けますから」
顔をあげ、なにも言わない牧野の顔を、明子は真っ直ぐに見つめた。
「それを、最後にしてください。牧野さんのために戦うの。もう、それで最後にさせてください」
「小杉っ」
聞けよっ。
叫ぶようにそう言って、伸ばされた来た牧野の手を、明子を払った。
「遠くに、行く。今度こそ、もう、あなたの影さえ見ない、遠いところに、行く」
今度こそ。
全て、捨てる。
全て、振り切っていく。
未練も。
恋心も。
何もかも。
全てを置いて、行く。
あなたのいない世界に、
行く。
明子は立ち上がると店を飛び出した。
外は、小雨が降っていた。