リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
あの時。
俺は、彼女になにを言ったのだろう。

何度も。
何度も。
何度も。
何度も。
あの日を夢に見ても。
その言葉が思い出せない。

あのとき、男を叱っていた部長の言葉ですら、しっかりと記憶に刻まれているのに。
自分が言った言葉が思い出せない。
でも、俺は。
なにかを言ってしまったのだ。
彼女のその心まで、凍りつかせてしまうような。
そんな言葉を。
言ってしまったのだ。

それだけは、判った。


あの日から。
俺と彼女に間には、見えない壁ができた。
超えることもできない。
壊すこともできない。
冷たい薄氷のような、そんな壁ができた。



そして。



彼女は俺の隣から消えた。

後悔だけが。
俺の中に残り続けた。
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