リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
一人分だけ作るのも、面倒だよねと、そんな言い訳を用意して、いつの間にか、明子は料理を作ることを封印していた。
そして、コンビニエンスストアのパンや弁当で、家での食事は済ませるようになっていた。
休みの日でさえ、出来合いの惣菜や弁当で済ませていた。
(こんなんで、十分じゃん)
(十分、おいしいって)
(帰ってきてから作るなんてさ、大変だもん)
電子レンジで温めた弁当を食べながら、明子はそう呟いて頷て、自分を誤魔化してきた。
一人ぼっちの部屋で作ったご飯は、どんな上手に作っても、味気なかった。
おいしいと言って、食べてくれる人がいる幸せを知ってしまったから、いっそう、一人の食卓は、味気ないものになってしまった。
会話のない食卓が嫌になって、テレビの前で食事をするようになった。
そのうち、弁当のみならず、スナック菓子の類まで、夕飯の代わりになってしまった。
炊飯器は、週に一回くらいには、活躍していてくれたけど、鍋もフライパンも包丁も、最近は滅多に活躍しなくなった。
久しぶりに、本格的に包丁を持ったら、野菜を刻むリズムに合わせて、昔から大好きだった歌が自然と明子の唇からこぼれだし、楽しい気持ちが心の中を満たしていた。
そして、コンビニエンスストアのパンや弁当で、家での食事は済ませるようになっていた。
休みの日でさえ、出来合いの惣菜や弁当で済ませていた。
(こんなんで、十分じゃん)
(十分、おいしいって)
(帰ってきてから作るなんてさ、大変だもん)
電子レンジで温めた弁当を食べながら、明子はそう呟いて頷て、自分を誤魔化してきた。
一人ぼっちの部屋で作ったご飯は、どんな上手に作っても、味気なかった。
おいしいと言って、食べてくれる人がいる幸せを知ってしまったから、いっそう、一人の食卓は、味気ないものになってしまった。
会話のない食卓が嫌になって、テレビの前で食事をするようになった。
そのうち、弁当のみならず、スナック菓子の類まで、夕飯の代わりになってしまった。
炊飯器は、週に一回くらいには、活躍していてくれたけど、鍋もフライパンも包丁も、最近は滅多に活躍しなくなった。
久しぶりに、本格的に包丁を持ったら、野菜を刻むリズムに合わせて、昔から大好きだった歌が自然と明子の唇からこぼれだし、楽しい気持ちが心の中を満たしていた。