リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
額にうっすらと浮かんでいる、いやな寝汗を拭った。
魘されていたかもしれないなと、牧野は肩を竦めた。
(今度は、間に合っただろうか)
そんな不安を振り払おうと、牧野は深く息を吸い込んで、吐き出した。
聞いてくれと、彼女に背を向けて牧野は語り続けた。
聞きたくないと、また彼女に拒絶されるかもしれないと思ったら、彼女の顔を見ていることができなかった。
(どんな顔をしているんだろう?)
(聞いてくれているのだろうか?)
気になって、振り返ろうとする自分を、牧野の中にいる臆病な牧野が、やめろとそれを押し留めた。
諦めろ。
もう、彼女の耳にお前の言葉なんか届きやしない。
お前はまた間違えたんだ。
もう一人の自分が、牧野にそう告げるのだ。
そのとき、そっと、背中に彼女が当ててくれたその手のぬくもりが、聞いているとそう教えてくれた。
そのあとに続けてくれた茶化すような彼女の言葉が、大丈夫と、臆病になっている牧野を励ましてくれているようだった。
(届いた)
(きっと、今度は間に合った)
そう思ったら、全ての言葉を彼女に告げたとたん、瞼が重くなってきた。
あれはとんだ失態だったと、牧野は思わず鼻の頭を掻いた。
魘されていたかもしれないなと、牧野は肩を竦めた。
(今度は、間に合っただろうか)
そんな不安を振り払おうと、牧野は深く息を吸い込んで、吐き出した。
聞いてくれと、彼女に背を向けて牧野は語り続けた。
聞きたくないと、また彼女に拒絶されるかもしれないと思ったら、彼女の顔を見ていることができなかった。
(どんな顔をしているんだろう?)
(聞いてくれているのだろうか?)
気になって、振り返ろうとする自分を、牧野の中にいる臆病な牧野が、やめろとそれを押し留めた。
諦めろ。
もう、彼女の耳にお前の言葉なんか届きやしない。
お前はまた間違えたんだ。
もう一人の自分が、牧野にそう告げるのだ。
そのとき、そっと、背中に彼女が当ててくれたその手のぬくもりが、聞いているとそう教えてくれた。
そのあとに続けてくれた茶化すような彼女の言葉が、大丈夫と、臆病になっている牧野を励ましてくれているようだった。
(届いた)
(きっと、今度は間に合った)
そう思ったら、全ての言葉を彼女に告げたとたん、瞼が重くなってきた。
あれはとんだ失態だったと、牧野は思わず鼻の頭を掻いた。