リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「木村くんっ おめでとうっ ホントにおめでとうっ」
紀子が今更ながらに、木村に手を合わせるようにして、祝福の言葉を口にする。
「なんか、ちょっと複雑ですけど。ホントに、祝福してもらえてるんですよね、僕?」
祝いの言葉を口にする紀子を、胡散臭そうに眺める木村に、もちろんよと紀子は大真面目な表情を、わざとらしいまでに作る。
「当たり前です。そして、なにより。棚からの牡丹餅、ありがとう。そこに一番、心の底から感謝します。ホントに」
紀子の素直すぎるその言葉に、木村も、まあいいかと笑って、ようやく腕を解いた。
「よし。これで、主任にも心置きなく出席していただけると」
「えー。まだ心は置いてあるんだけど、東京に」
「こっちに戻してくださいっ ダメですっ 僕、泣きますよ、ホントに」
えーんと泣きまねをする木村に「判った、判った、もう諦めたから」と、明子は言い宥める。
(関ちゃん)
(いやいや、高杉兄弟)
(ごめんね)
(義理と人情に、押し切られたわ)
心の中で、明子はそんなことを思いつつ、四人に手を合わせた。
紀子が今更ながらに、木村に手を合わせるようにして、祝福の言葉を口にする。
「なんか、ちょっと複雑ですけど。ホントに、祝福してもらえてるんですよね、僕?」
祝いの言葉を口にする紀子を、胡散臭そうに眺める木村に、もちろんよと紀子は大真面目な表情を、わざとらしいまでに作る。
「当たり前です。そして、なにより。棚からの牡丹餅、ありがとう。そこに一番、心の底から感謝します。ホントに」
紀子の素直すぎるその言葉に、木村も、まあいいかと笑って、ようやく腕を解いた。
「よし。これで、主任にも心置きなく出席していただけると」
「えー。まだ心は置いてあるんだけど、東京に」
「こっちに戻してくださいっ ダメですっ 僕、泣きますよ、ホントに」
えーんと泣きまねをする木村に「判った、判った、もう諦めたから」と、明子は言い宥める。
(関ちゃん)
(いやいや、高杉兄弟)
(ごめんね)
(義理と人情に、押し切られたわ)
心の中で、明子はそんなことを思いつつ、四人に手を合わせた。