リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「大丈夫かい? ほら、戻っておいで。小杉くんも、そろそろ大人の対応を覚えなさい。こんなていどのことで、いちいち固まらない」
「こ、こんなていどって」
あの、その。私。そういうことに免疫が。心臓バクバクしちゃいます。
もぞもぞと、そんなことを言い募りながら、すでにかなりの満腹状態で手渡された美味しそうな惣菜を、どうしようかと思案顔で明子は眺めた。
というか、どこに目を向けていればいいのかが判らなくて、手元を見ているしかなかった。
「なんか。お腹いっぱいって顔だね。残してもいいからね」
「あの握り飯を食って、それまで食ったら、大飯食らいの女と笑ってやる」
互いに、いかにものという言葉を口にする二人に、明子は力なく笑うしかなかった。
(んー。この状況って……)
(下手したらさ、社内中の女子から、石を投げつけられる、かも?)
(だわよね?)
ようやく、自分の置かれている状況に気付いた明子は、頭を抱え込みたくなった。
「ほれ。デザートだ。食え」
「お。牧野にしては気が利いてるな」
もう一つ、傍らに置いたままのコンビニエンスストアの袋から、いちごがたっぷりと乗ったミニパフェタイプのスイーツを取り出し牧野は、明子の手から島野が買ってきた惣菜セットを取り上げると、それを手の上に置いた。
そうしておいて、島野のその差し入れを、問答無用といわんばかりに、牧野は我が物顔で食べ始めた。
「こ、こんなていどって」
あの、その。私。そういうことに免疫が。心臓バクバクしちゃいます。
もぞもぞと、そんなことを言い募りながら、すでにかなりの満腹状態で手渡された美味しそうな惣菜を、どうしようかと思案顔で明子は眺めた。
というか、どこに目を向けていればいいのかが判らなくて、手元を見ているしかなかった。
「なんか。お腹いっぱいって顔だね。残してもいいからね」
「あの握り飯を食って、それまで食ったら、大飯食らいの女と笑ってやる」
互いに、いかにものという言葉を口にする二人に、明子は力なく笑うしかなかった。
(んー。この状況って……)
(下手したらさ、社内中の女子から、石を投げつけられる、かも?)
(だわよね?)
ようやく、自分の置かれている状況に気付いた明子は、頭を抱え込みたくなった。
「ほれ。デザートだ。食え」
「お。牧野にしては気が利いてるな」
もう一つ、傍らに置いたままのコンビニエンスストアの袋から、いちごがたっぷりと乗ったミニパフェタイプのスイーツを取り出し牧野は、明子の手から島野が買ってきた惣菜セットを取り上げると、それを手の上に置いた。
そうしておいて、島野のその差し入れを、問答無用といわんばかりに、牧野は我が物顔で食べ始めた。