リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
(確か、牧野さんも、そんなことを言っていたっけ)
(魔除けの効果があるって)
やっぱり、あれは貰ってくるべきだったかしらと、明子は苦笑する。
怨敵退散と、迫ってくる島野にあれを押し付けたら、きれいに消えてくれたかもしれないわと、そんなことを想像して、笑った。
そして、牧野のことを、また考えてしまっている自分に、苦笑する。
そのとき、くぅっと、お腹が鳴った。
甘い気分に浸らせてくれない虫に、こいつめと笑いながら胃の辺り摩り、夜ご飯は食べ残したおにぎりと、カップスープだけだったことを思い出した。
帰ったら、なにか作ろうと思って。
それどころではない、非日常空間に取り込まれて。
すっかり、明子は空腹を忘れていた。
明子が食べ残したおにぎりまで「食べる、寄越せ」と強請る牧野の頬を、明子は会議室で抓りあげたときのことまで、芋づる式に明子は思い出していた。
『これは私のご飯ですっ あげませんっ』
『俺の握り飯だっ』
『交換した時点で、私のものですっ』
ぷんぷんと、怒りながら、牧野から取り上げた空になった弁当箱と、食べ残しのおにぎりを持って会議室を出た。
中では島野と牧野の、兄弟ゲンカのようなたわいない口論を繰り広げられていた。
あの光景が、瞼に浮かぶ。
(魔除けの効果があるって)
やっぱり、あれは貰ってくるべきだったかしらと、明子は苦笑する。
怨敵退散と、迫ってくる島野にあれを押し付けたら、きれいに消えてくれたかもしれないわと、そんなことを想像して、笑った。
そして、牧野のことを、また考えてしまっている自分に、苦笑する。
そのとき、くぅっと、お腹が鳴った。
甘い気分に浸らせてくれない虫に、こいつめと笑いながら胃の辺り摩り、夜ご飯は食べ残したおにぎりと、カップスープだけだったことを思い出した。
帰ったら、なにか作ろうと思って。
それどころではない、非日常空間に取り込まれて。
すっかり、明子は空腹を忘れていた。
明子が食べ残したおにぎりまで「食べる、寄越せ」と強請る牧野の頬を、明子は会議室で抓りあげたときのことまで、芋づる式に明子は思い出していた。
『これは私のご飯ですっ あげませんっ』
『俺の握り飯だっ』
『交換した時点で、私のものですっ』
ぷんぷんと、怒りながら、牧野から取り上げた空になった弁当箱と、食べ残しのおにぎりを持って会議室を出た。
中では島野と牧野の、兄弟ゲンカのようなたわいない口論を繰り広げられていた。
あの光景が、瞼に浮かぶ。