リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
週末の金曜の夜。
自分がそうであるように、他の社員たちも、週末の休日出勤などはしたくないというその一心で、なんとしてでも、今週予定していた仕事は片付けていこうとする。
明子も、一昨日は祝日で、本来なら休みのはずが、なぜか、牧野からの突然の命令で休日出勤などをする羽目になり、だからこそ、土日の休みは確保すべく仕事に励んでいた。
お先にと、明るい声で挨拶をして、そそくさと会社を出て行く社員がいる一方、終らない仕事に一心不乱に向き合っている社員も多い。
当然ながら、というか、残念ながらというか、今週の明子は、後者だった。
またもや赤木から、訳の判らないトラブルの電話が入り、手に負えなくなった木村からそれを引き取る形で、午後から赤木の要望に応えて客先に出向いた。
結果、当然のことながら、今日の午後の予定は大幅に狂った。
じつのことを言えば、資料はおおよそ形となり、そう焦らなくても大丈夫なところにまで仕上がっているのだが、ここ数日のことを考えると、来週以降もどこで誰に予定を狂わせられるか、まったく予想がつかない。
それだけに、できることなら今日中に、その気になればいつでも提出可能なところにまで、資料を仕上げてしまいたかった。
目の奥にずっしりとした疲労を感じながら、パソコンに向かい続けていた明子の机に、どさりと、ビニール袋に入ったなにかが置かれた。
ようやく、明子は我に返ったという顔で周囲を見渡した。
時刻は二十二時をとっくに過ぎて、室内の人影も大分まばらになっていた。
明子のチームで残っている社員は、一人もいない。
そんな状況で、牧野が背後に立っていた。
「夜食だ。食え」
自分がそうであるように、他の社員たちも、週末の休日出勤などはしたくないというその一心で、なんとしてでも、今週予定していた仕事は片付けていこうとする。
明子も、一昨日は祝日で、本来なら休みのはずが、なぜか、牧野からの突然の命令で休日出勤などをする羽目になり、だからこそ、土日の休みは確保すべく仕事に励んでいた。
お先にと、明るい声で挨拶をして、そそくさと会社を出て行く社員がいる一方、終らない仕事に一心不乱に向き合っている社員も多い。
当然ながら、というか、残念ながらというか、今週の明子は、後者だった。
またもや赤木から、訳の判らないトラブルの電話が入り、手に負えなくなった木村からそれを引き取る形で、午後から赤木の要望に応えて客先に出向いた。
結果、当然のことながら、今日の午後の予定は大幅に狂った。
じつのことを言えば、資料はおおよそ形となり、そう焦らなくても大丈夫なところにまで仕上がっているのだが、ここ数日のことを考えると、来週以降もどこで誰に予定を狂わせられるか、まったく予想がつかない。
それだけに、できることなら今日中に、その気になればいつでも提出可能なところにまで、資料を仕上げてしまいたかった。
目の奥にずっしりとした疲労を感じながら、パソコンに向かい続けていた明子の机に、どさりと、ビニール袋に入ったなにかが置かれた。
ようやく、明子は我に返ったという顔で周囲を見渡した。
時刻は二十二時をとっくに過ぎて、室内の人影も大分まばらになっていた。
明子のチームで残っている社員は、一人もいない。
そんな状況で、牧野が背後に立っていた。
「夜食だ。食え」