リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
(とりあえず、バスのことも含めて、今夜のことは、まあ、感謝しておいてやるわ)
(牧野メ)
牧野の忠告通りだった。
本来であれば、その時間はとっくに駅に着いているはずのバスがやってきたのは、明子がバス停に到着して5分後のことだった。
この時刻になると、普段であればほぼがら空きになっているはずの車内は、時間通りに走らないバスにイラついている人で溢れ、むわっとした人の熱気が漂うほどに混み合っていた。
乗り合わせた営業課の顔見知りが「この先の大通りで、玉突き事故があったんだってさ。事故処理が終らなくて、渋滞してるらしいよ」と教えてくれた。
(よかった。終電に間に合って)
(日付が変わる前に、帰ってこられて、ホント、よかったあ)
スープを食べたというのも変な表現だけれど、野菜ががっつり入ったスープは、飲んだというよりは食べたという印象だった。
牧野が差し入れてくれたあのスープのおかげなのか、ご飯らしいご飯を今夜は食べていないにも関わらず、小腹が空いているという感もなく、明子はお風呂に浸かって、一息ついた。
もし牧野から帰宅を促されなかったら、いつ来るか判らないバスを延々と待つことになっていたかもしれない。
濡れた髪を乾かしながら、滅多にない牧野への感謝の言葉を、明子は胸中で並べた。
そして、明子は体重測定に挑んだ。
(牧野メ)
牧野の忠告通りだった。
本来であれば、その時間はとっくに駅に着いているはずのバスがやってきたのは、明子がバス停に到着して5分後のことだった。
この時刻になると、普段であればほぼがら空きになっているはずの車内は、時間通りに走らないバスにイラついている人で溢れ、むわっとした人の熱気が漂うほどに混み合っていた。
乗り合わせた営業課の顔見知りが「この先の大通りで、玉突き事故があったんだってさ。事故処理が終らなくて、渋滞してるらしいよ」と教えてくれた。
(よかった。終電に間に合って)
(日付が変わる前に、帰ってこられて、ホント、よかったあ)
スープを食べたというのも変な表現だけれど、野菜ががっつり入ったスープは、飲んだというよりは食べたという印象だった。
牧野が差し入れてくれたあのスープのおかげなのか、ご飯らしいご飯を今夜は食べていないにも関わらず、小腹が空いているという感もなく、明子はお風呂に浸かって、一息ついた。
もし牧野から帰宅を促されなかったら、いつ来るか判らないバスを延々と待つことになっていたかもしれない。
濡れた髪を乾かしながら、滅多にない牧野への感謝の言葉を、明子は胸中で並べた。
そして、明子は体重測定に挑んだ。