リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
【高杉兄弟の一週間 金曜日】
金曜の夜。いつものようにリビングに集まった高杉家の四兄弟。
「少しは料理作れるようになったのか?」
弘明にそう尋ねられた隆弘は、黄粉たっぷりのわらび餅を頬張りながら、おうっと短く返事をした。
「今週は、ずっと弁当持参だ」
「へえ。どんな弁当?」
胸を張って答えた隆弘に、明文が胡散臭そうな目を向ける。
「握り飯二つは文隆が作って、俺はサラダを作って」
「なあ。そのサラダってやつを、もう少し具体的に説明しろや」
なんとなく、その中身に想像がついたというように目を据わらせて詰め寄る弘明に、隆弘は怯むことなく堂々と答える。
「レタスを千切って、ベビーリーフって言うのか? 小さい葉っぱ。あれを千切って、食べるときにドレッシングをかけるんだよ」
「そのドレッシングは作ったやつか?」
「あ? そんなもん、売ってるやつに決まってるだろ」
一体、何を訳の判らんことを言っているんだというように眉を潜めている隆弘に、弘明と明文がやれやれというように大きく一つ息を吐き出した。
「いや、まあ、想像はついたけどさ」
「それを料理と呼べるあんたがある意味羨ましいよ」
「なんだよ。ひでえな。文隆はすごいって褒めてくれだぞ」
兄たちの会話に加わることなく、わらび餅を切ることに専念している文隆の足を、明文が蹴り上げた。
「痛いって。暴力反対」
「甘やかすなよ、これを」
「見ろ。お前が褒めるからつけあがってるぞ」
隆文を指差しながら文隆を叱る明文と弘明に、えー、でもさーと文隆は反論する。
金曜の夜。いつものようにリビングに集まった高杉家の四兄弟。
「少しは料理作れるようになったのか?」
弘明にそう尋ねられた隆弘は、黄粉たっぷりのわらび餅を頬張りながら、おうっと短く返事をした。
「今週は、ずっと弁当持参だ」
「へえ。どんな弁当?」
胸を張って答えた隆弘に、明文が胡散臭そうな目を向ける。
「握り飯二つは文隆が作って、俺はサラダを作って」
「なあ。そのサラダってやつを、もう少し具体的に説明しろや」
なんとなく、その中身に想像がついたというように目を据わらせて詰め寄る弘明に、隆弘は怯むことなく堂々と答える。
「レタスを千切って、ベビーリーフって言うのか? 小さい葉っぱ。あれを千切って、食べるときにドレッシングをかけるんだよ」
「そのドレッシングは作ったやつか?」
「あ? そんなもん、売ってるやつに決まってるだろ」
一体、何を訳の判らんことを言っているんだというように眉を潜めている隆弘に、弘明と明文がやれやれというように大きく一つ息を吐き出した。
「いや、まあ、想像はついたけどさ」
「それを料理と呼べるあんたがある意味羨ましいよ」
「なんだよ。ひでえな。文隆はすごいって褒めてくれだぞ」
兄たちの会話に加わることなく、わらび餅を切ることに専念している文隆の足を、明文が蹴り上げた。
「痛いって。暴力反対」
「甘やかすなよ、これを」
「見ろ。お前が褒めるからつけあがってるぞ」
隆文を指差しながら文隆を叱る明文と弘明に、えー、でもさーと文隆は反論する。