リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
【高杉兄弟の一週間 金曜日】
「月曜日にはレタスを千切ろうとして、力任せに握り潰してボロボロにしちやった人が、水曜日にはきれいに千切れたんだよ? 昨日なんか、ゆで卵まで作ったんだよ? 卵を割れなかった人が、火を使って卵料理を作ったんだよ? 人ってこうやって進化していくんだなあって、感心しちゃったよ。褒めてあげないでどうするの?」
さらりと吐き出されたその言葉に、明文と弘明は降参だというように吹き出した。
「そっか。サルからヒトになったんだ」
「それは感動の瞬間だな」
「なあ。なんか、ちっともそんな感じはしないんだけどな、俺は褒められてるんだよな?」
交わされている弟たちの会話に、ますます、その眉間に深い皺を刻ませていく隆弘に、文隆はもちろんと頷いた。
「たか兄はやればできる子だって、よぉっく判ったからね」
「そうだろ。兄ちゃんはやればできる子なんだよ」
「しかも、褒められて伸びる子だしね」
「おう。その通りだ」
「その調子で、来週は頑張ってトマトを切ってみようね。火と包丁を使えれば、もう、れっきとしたヒトだよ」
「おう。任せてとけ。って、おい。お前がなにげに一番失礼なこと言ってるよな?」
明らかに面白がって楽しんでいることは明白な文隆に、ノリツッコミで答える隆弘。そんな二人に明文はテーブルに突っ伏して肩を震わせ、弘明はやれやれというように苦笑をこぼしながら二人を眺めた。
「月曜日にはレタスを千切ろうとして、力任せに握り潰してボロボロにしちやった人が、水曜日にはきれいに千切れたんだよ? 昨日なんか、ゆで卵まで作ったんだよ? 卵を割れなかった人が、火を使って卵料理を作ったんだよ? 人ってこうやって進化していくんだなあって、感心しちゃったよ。褒めてあげないでどうするの?」
さらりと吐き出されたその言葉に、明文と弘明は降参だというように吹き出した。
「そっか。サルからヒトになったんだ」
「それは感動の瞬間だな」
「なあ。なんか、ちっともそんな感じはしないんだけどな、俺は褒められてるんだよな?」
交わされている弟たちの会話に、ますます、その眉間に深い皺を刻ませていく隆弘に、文隆はもちろんと頷いた。
「たか兄はやればできる子だって、よぉっく判ったからね」
「そうだろ。兄ちゃんはやればできる子なんだよ」
「しかも、褒められて伸びる子だしね」
「おう。その通りだ」
「その調子で、来週は頑張ってトマトを切ってみようね。火と包丁を使えれば、もう、れっきとしたヒトだよ」
「おう。任せてとけ。って、おい。お前がなにげに一番失礼なこと言ってるよな?」
明らかに面白がって楽しんでいることは明白な文隆に、ノリツッコミで答える隆弘。そんな二人に明文はテーブルに突っ伏して肩を震わせ、弘明はやれやれというように苦笑をこぼしながら二人を眺めた。