リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「なら、今月いっぱいの辛抱でどうにかなるんだな、あれは」
確認するような問いかけに、牧野は曖昧ながらも頷いた。
「多分」
してくれなかったら、殴ってきますよ。
鼻に皺を寄せてそんなことを言う牧野に、君島もまた苦笑混じりで笑う。
人前で殴るなよ、場所は選べよと、冗談めかした声で君島は釘を刺した。
本気でそんなことはしないと思うが、牧野の場合、常人ならまずやるはずのないことを、躊躇うことなくなってしまうところがあるだけに、こういう一言は言っておかないと危なかっしくてしょうがないというのが、短くない付き合いの中で得た君島の持論だった。
「判った。それまでは辛抱しよう。でも、これ以上、小杉とあれを絡ませるなよ。お嬢様一人だけなら、母親が出てくるのは面倒だけどな、それでも大したことはない。でも、回りにいるのがな、質が悪すぎる。特に新藤と坂下。野々村は気をつけろ」
「坂下、無理ですか、やっぱり」
「無理だな。とりあえず、安藤は引き離してみることにしたが。あれだけでも、どうにか元に戻ってくれればいいがな」
「原田は?」
「微妙だな。なんせ、今のあいつには、仕事に対する意欲がない。困ったよ。沼田を落として、なんとか寿退社に持っていくことしか、今は考えていないんだろうな」
「バカくせー」
呆れ返っている牧野のぼやきに、君島もため息しか出なかった。
「とにかく、坂下たちには気をつけろ。いいな。小杉は女だ。口でなら勝てるだろうが、力じゃ男には敵わん。あまり、衝突させるようなことはさせるなよ」
やや深刻な顔つきで何度も念を押す君島に、牧野も神妙な面持ちで頷き続けた。
確認するような問いかけに、牧野は曖昧ながらも頷いた。
「多分」
してくれなかったら、殴ってきますよ。
鼻に皺を寄せてそんなことを言う牧野に、君島もまた苦笑混じりで笑う。
人前で殴るなよ、場所は選べよと、冗談めかした声で君島は釘を刺した。
本気でそんなことはしないと思うが、牧野の場合、常人ならまずやるはずのないことを、躊躇うことなくなってしまうところがあるだけに、こういう一言は言っておかないと危なかっしくてしょうがないというのが、短くない付き合いの中で得た君島の持論だった。
「判った。それまでは辛抱しよう。でも、これ以上、小杉とあれを絡ませるなよ。お嬢様一人だけなら、母親が出てくるのは面倒だけどな、それでも大したことはない。でも、回りにいるのがな、質が悪すぎる。特に新藤と坂下。野々村は気をつけろ」
「坂下、無理ですか、やっぱり」
「無理だな。とりあえず、安藤は引き離してみることにしたが。あれだけでも、どうにか元に戻ってくれればいいがな」
「原田は?」
「微妙だな。なんせ、今のあいつには、仕事に対する意欲がない。困ったよ。沼田を落として、なんとか寿退社に持っていくことしか、今は考えていないんだろうな」
「バカくせー」
呆れ返っている牧野のぼやきに、君島もため息しか出なかった。
「とにかく、坂下たちには気をつけろ。いいな。小杉は女だ。口でなら勝てるだろうが、力じゃ男には敵わん。あまり、衝突させるようなことはさせるなよ」
やや深刻な顔つきで何度も念を押す君島に、牧野も神妙な面持ちで頷き続けた。