リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
客先に着いて、牧野は車を駐車場に入れた。
途中、携帯電話が鳴っていたことを思い出し、笹島に「すいません」と一言断ってから確認する。
二件の電話は客先からのもので、一件のメールは小林ものだった。
土曜は見合いじゃないから。
本気にするな。
最初に書かれていたその一文に、知らず、牧野の口から安堵のため息が零れる。
そんなはずはないと判っていても、それでも牧野の心はずっと不安がっていた。
でも、見合い話はあるそうだ。
母親がよく持ってくるらしい。
今のとこ断っているけど。
でも、二回。
強制的にさせられたとさ。
モタモタしてんじゃねえよ。
さっさと決めちまえ。
後半続いた文面に、牧野の胸がキリキリと締め付けられた。
「小杉の件か」
肩を並べて歩いている笹原が、面白そうにそう声をかけてきた。
「いや、別に」
「バカモン。誤魔化せると思うな。お前が半人前のころから知っているんだぞ。顔に書いてあるもんくらい読めるわ」
かかかと、声をあげて笑う笹原に、牧野は肩を落として項垂れた。
途中、携帯電話が鳴っていたことを思い出し、笹島に「すいません」と一言断ってから確認する。
二件の電話は客先からのもので、一件のメールは小林ものだった。
土曜は見合いじゃないから。
本気にするな。
最初に書かれていたその一文に、知らず、牧野の口から安堵のため息が零れる。
そんなはずはないと判っていても、それでも牧野の心はずっと不安がっていた。
でも、見合い話はあるそうだ。
母親がよく持ってくるらしい。
今のとこ断っているけど。
でも、二回。
強制的にさせられたとさ。
モタモタしてんじゃねえよ。
さっさと決めちまえ。
後半続いた文面に、牧野の胸がキリキリと締め付けられた。
「小杉の件か」
肩を並べて歩いている笹原が、面白そうにそう声をかけてきた。
「いや、別に」
「バカモン。誤魔化せると思うな。お前が半人前のころから知っているんだぞ。顔に書いてあるもんくらい読めるわ」
かかかと、声をあげて笑う笹原に、牧野は肩を落として項垂れた。