リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「いやー。牧野さんってば。男女問わずにモテモテー」
運転中に笑わせないでくださいよーと言いながら、そんな言葉を続けて、明子は声を上げて笑い続けた。
「で、どうなったんですか?」
からかい交じりの明子の言葉に「どうにもなるかよっ、逃げたよっ」と、牧野は言い返した。
「だいたい、どうにかなりましたなんて話を聞かされたら、お前だって嫌だろ」
ジロリと睨みつける牧野に、明子は笑いながら「まあ、そうですねえ、でもなあ」と、曖昧な返事しながら考えるように首を傾げた。
「まあ、合意の上なら、いいんじゃないですか。恋愛は自由ですから」
「お前な。寛大すぎだろ。なあ、俺の思い違いじゃなきゃ、俺は今夜、お前の彼氏ってやつに昇格したはずだよな?」
「えーと」
改めてそう問われて、明子は答えに詰まった。そんな明子に、牧野はその整った眉をきりりと吊り上げた。
「おい。返事は」
「そんな改まって言われると、照れちゃいますよぅ」
面映ゆそうな明子の表情を見て、牧野は「ばか、照れてんじゃねえや」と、その頬を突っついた。
「でも、今現在、そういう関係の男の人がいるって言われたら、かなり引きますし、もう、勘弁、無理って逃げだすと思いますけど。昔の、しかも未遂で終わったそんな話を持ち出されて、どう思うって聞かれてもですね。それが売春だとか強姦だとかなんだとか、そんな犯罪がらみだったなら怒りますけど。そうでもないなら、もう若かりし頃の笑い話ってことでいいんじゃないかと」
明子ののんきなその口ぶりに、牧野は肩を揺らしながらくつくつと笑う。
「やっぱり、お前はデカいな」
「は?」
ちょっと、失礼ですよ、それ。
ぷんと、口を尖らせて拗ねる明子を、牧野はただ笑うだけだった。
運転中に笑わせないでくださいよーと言いながら、そんな言葉を続けて、明子は声を上げて笑い続けた。
「で、どうなったんですか?」
からかい交じりの明子の言葉に「どうにもなるかよっ、逃げたよっ」と、牧野は言い返した。
「だいたい、どうにかなりましたなんて話を聞かされたら、お前だって嫌だろ」
ジロリと睨みつける牧野に、明子は笑いながら「まあ、そうですねえ、でもなあ」と、曖昧な返事しながら考えるように首を傾げた。
「まあ、合意の上なら、いいんじゃないですか。恋愛は自由ですから」
「お前な。寛大すぎだろ。なあ、俺の思い違いじゃなきゃ、俺は今夜、お前の彼氏ってやつに昇格したはずだよな?」
「えーと」
改めてそう問われて、明子は答えに詰まった。そんな明子に、牧野はその整った眉をきりりと吊り上げた。
「おい。返事は」
「そんな改まって言われると、照れちゃいますよぅ」
面映ゆそうな明子の表情を見て、牧野は「ばか、照れてんじゃねえや」と、その頬を突っついた。
「でも、今現在、そういう関係の男の人がいるって言われたら、かなり引きますし、もう、勘弁、無理って逃げだすと思いますけど。昔の、しかも未遂で終わったそんな話を持ち出されて、どう思うって聞かれてもですね。それが売春だとか強姦だとかなんだとか、そんな犯罪がらみだったなら怒りますけど。そうでもないなら、もう若かりし頃の笑い話ってことでいいんじゃないかと」
明子ののんきなその口ぶりに、牧野は肩を揺らしながらくつくつと笑う。
「やっぱり、お前はデカいな」
「は?」
ちょっと、失礼ですよ、それ。
ぷんと、口を尖らせて拗ねる明子を、牧野はただ笑うだけだった。