リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
あんな妖艶な雰囲気を作られしまったら、男性に対してあまり免疫のない自分など、簡単に堕ちて囚われてしまうと明子は拗ねた。
バカと言って、綺麗な顔が歪になるほど、むぎゅっとその頬を抓って、痛い痛いと悲鳴をあげさせてやりたくなった。
けれど、縋りつくようにきつく明子を抱き寄せた牧野のその顔は、泣いて怯える子どものようだった。
あの妖しい雰囲気など微塵もない、怯えて震える幼く小さな子どものようだった。
あの牧野を思い出すだけで、胸がきつく締め付けられて、ただただ牧野のことを抱え込むように抱きしめてやりたい衝動に駆られる。
(子どものころにあった、いろいろって……)
(なんだろう)
君島の言葉を思い出して、今夜のことはそれが原因なのだろうと察した。
信号が変わるのを見て、明子は静かにアクセルを踏んだ。
バカと言って、綺麗な顔が歪になるほど、むぎゅっとその頬を抓って、痛い痛いと悲鳴をあげさせてやりたくなった。
けれど、縋りつくようにきつく明子を抱き寄せた牧野のその顔は、泣いて怯える子どものようだった。
あの妖しい雰囲気など微塵もない、怯えて震える幼く小さな子どものようだった。
あの牧野を思い出すだけで、胸がきつく締め付けられて、ただただ牧野のことを抱え込むように抱きしめてやりたい衝動に駆られる。
(子どものころにあった、いろいろって……)
(なんだろう)
君島の言葉を思い出して、今夜のことはそれが原因なのだろうと察した。
信号が変わるのを見て、明子は静かにアクセルを踏んだ。