リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
友人からの連絡は、たいてい、メールだ。
よほどの緊急事態でもない限り、電話などはかけてこない。
休日のこんな時間を見計らって電話を入れてくるのは、ほぼ、家族。
おそらく、家族。
多分、きっと、母親。

着信音がいつもと違うような気もしたが、そんなことには頓着せずに、明子はその電話を母親からだと決めつけた。
朝から、母親と姉に毒づいていたことがバレたのかしらと、明子はため息を吐きつつ、出るつもりはないけれど一応、鳴り続けている携帯電話を手にした。
しかし、だった。
ディスプレイに表示されていたのは予想外の人物の名前で、明子は思わず、携帯電話をソファーに放り出した。


(なんで?)


プチパニックが、明子を襲う。
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