キスはおとなの呼吸のように【完】
「離せ、バカ」

手首をつかんだまま、まっすぐ酔っぱらいの顔を見つめてカズトがいう。

「のみすぎですよ。帰ってください」

カズトが手を離すと酔っぱらいは手首をさすりながら、捨てぜりふを吐く。

「ここにかよって何年にもなるが、カズちゃんがそんなやつだと思わなかった。もう二度とくるか、こんな店。さっさとつぶれろ。バカ」

立ちのみスペースのガラス戸を勢いよくひらき、酔っぱらいは帰っていく。
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