キスはおとなの呼吸のように【完】
「力持ちだけあって、意外と強いんですね。カズトのあんな声、はじめてききました。なんていうか、昔ヤンキーでもやってた人みたい。いつもへらへらしてるだけの人じゃなくて、ちょっとびっくり」

地面に散らばったガラスをほうきでかき集めながらカズトがいう。

「すみません。お恥ずかしいかぎりです」

笑顔がトレードマークの酒屋のあんちゃんは、感情をおもてにだしてしまったことを本気で恥ずかしがっているようすだ。

その姿が、まるでどこかの誰かさんのようで、ほんのちょっとおかしくなった。
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