キスはおとなの呼吸のように【完】
「これで、よしっ」

がしゃがしゃと音を鳴らしてカズトが立ちあがる。
カズトはぜんぜん、わたしの視線に気づかない。
ごみを片づけながらたのしそうに口をひらいた。

「けど、二ヶ月以上も毎日ここにきていて、今はじめてシールの存在に気がついたなんて、シオリはやっぱりにぶにぶですね」

まったく、この男は。

わたしの期待とはぜんぜん違う言葉を吐く。
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