キスはおとなの呼吸のように【完】
なんというか、この温度差はどこにもっていけばいいのだろうか。
わたしは内心ちょっとむくれた。

抱きしめたいとか、キスしたいとか、そんなせりふを口にだせない代わりにいった。

「うるさいなあ。にぶにぶのカズトには、いわれたくありません」

口をとがらせそっぽをむくと、笑いながらカズトがいう。

「なに怒ってるんです」

自分の胸にきいてみろと思ったけれど、口にはださない。
わたしは返事をしてやらない。

おだやかな口調で、おとなのカズトが言葉をつけたす。
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