キスはおとなの呼吸のように【完】
わたしが顔をあげたとき、兼田社長はいまだデスクに座ったままだ。
ソファからは数歩ぶんの距離がある。
資料をだしたはいいけれど、わたしはそれをもてあましてしまった。
そのかんの兼田社長は、わたしの一挙手一投足をしずかに見つめて微動だにしない。
横にいる大上先輩に視線をふると、うなずきだけが返ってきた。
しかたない。
わたしは「失礼します」といって、ソファを立ちあがり数歩先のデスクまで資料を運んだ。
ソファからは数歩ぶんの距離がある。
資料をだしたはいいけれど、わたしはそれをもてあましてしまった。
そのかんの兼田社長は、わたしの一挙手一投足をしずかに見つめて微動だにしない。
横にいる大上先輩に視線をふると、うなずきだけが返ってきた。
しかたない。
わたしは「失礼します」といって、ソファを立ちあがり数歩先のデスクまで資料を運んだ。