キスはおとなの呼吸のように【完】
「わたしたち、今日ここにくる意味あったんですかね」

どうしても納得できずに大上先輩にこぼしてしまう。

おそらく大上先輩は、わたし以上にくやしかったはずだ。
いくら立場がうえだといっても、明らかに自分より年したの人間にこけにされたのだ。

先輩はすべてをのみこむように深く呼吸をしてからいった。

「まあ、郵送で資料だけ送りつけるよりは、いくらか意味があっただろう」

それから、めがねの奥の瞳をぎらぎらと輝かせた。
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