キスはおとなの呼吸のように【完】
「何度も足を運んで、じょじょにくずしていこう」
やはりわたしたちのやるべきことは、セオリーにのっとった営業しかないということか。
大上先輩は奥歯をぎりっと鳴らしていった。
「まあ、初営業のあいさつの時間が大幅に短縮されたんだ。一発目の営業で交渉が成立するなんてことはまれだし、十五分かかるあいさつが十五秒で終わったんだから、考えようによっては得をした。浮いた時間でほかの営業先にも顔だしにまわれるからな。袴田、くさっていないで、いい方向に考えろ」
まずは気持ちを切りかえろ、か。
大上先輩はいった。
やはりわたしたちのやるべきことは、セオリーにのっとった営業しかないということか。
大上先輩は奥歯をぎりっと鳴らしていった。
「まあ、初営業のあいさつの時間が大幅に短縮されたんだ。一発目の営業で交渉が成立するなんてことはまれだし、十五分かかるあいさつが十五秒で終わったんだから、考えようによっては得をした。浮いた時間でほかの営業先にも顔だしにまわれるからな。袴田、くさっていないで、いい方向に考えろ」
まずは気持ちを切りかえろ、か。
大上先輩はいった。