キスはおとなの呼吸のように【完】
「おまえがおれのしたについてそろそろ二年になるが、はじめて知った事実ってやつだな。おまえはふだんむだ口をたたかない代わりに、自分の話もほとんどしない。それが袴田詩織だといえばそれまでだが、そんなことだとコミュニケーション不足になっちまうぞ」

たしかに営業職の人間にとってコミュニケーション能力が低いというのは致命的な欠陥かもしれない。
けれどわたしは生活の手段である仕事のなかで、仲よしクラブをやるつもりはない。
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