キスはおとなの呼吸のように【完】
だからその日の午後は通常どおり一日じゅう営業にまわり歩いた。

お世話になっている取引先へのご用ききにいくルート営業。
そのあいだにも新規開拓のための飛びこみ営業を数件こなした。

わたしはやはり、先ほどの兼田社長の態度や勝ち誇ったような笑顔がわだかまりとして心のなかにひっかかっていたが、つまらない感情をほかの営業先に持ちこむわけにもいかず、顔にむりやり笑みを固定させた。
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