キスはおとなの呼吸のように【完】
直帰にならないぎりぎりの時間まであちらこちらを歩きまわり、日暮れすぎにホームへむかい、会社へもどる電車を待った。

きんと冷えこむ駅のホームで遅めの昼食をとりながら大上先輩と話をする。

「これから四葉屋さんには、どんな感じで攻めていくつもりですか」

ペットボトルのホットの緑茶はひざのうえにおいて両手でにぎるとカイロのようにあたたかい。
冷えた身体と心のなかに、じんわり熱が染みこんでくる。

「そうだなあ」

大上先輩は口いっぱいに弁当を頬ばっていう。
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