キスはおとなの呼吸のように【完】
午後八時をすぎたころ、大上先輩がジョッキのビールをのみほして立ちあがる。
すでに顔は、たこのようにまっかだった。

「話も進まないし、これ以上遅くまでつきあわせるわけにもいかないものな。明日の仕事にさしさわってもいけないし、そろそろでよう」

「あっ。はい」

わたしもジョッキの残りを一気にのみほし席を立つ。
失礼ないいかただが、この提案はわたしにとっても願ったり叶ったりだった。

わたしとしては話しあいが終われば一刻もはやく解散して、カズトに連絡をいれなければならないという義務感があった。
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