キスはおとなの呼吸のように【完】
「でも、こんなにすてきで誠実そうな彼がいて安心したよ。袴田はいつも眉間にしわをよせているから、彼氏ができないんじゃないかと心配していた」

入社以来わたしのめんどうを見てくれている先輩なりの親心だろうか。
この状況下で、こういう距離感のあるせりふをいってくれたのはありがたいとは思うが、勝手に人のプライベートの心配までするのはいかがなものかと思う。

「おれはそんなに、しっかりしたおとななんかじゃないですよ。それに……」

おだやかな調子でカズトはいう。
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