キスはおとなの呼吸のように【完】
もしかすると兼田社長のせりふはただのいやみではなく、自分の力と成功を社員やわたしたちに誇示するものだったのかもしれない。

どちらにせよ、あまり感じはよくないな。

わたしは兼田社長のそんな態度にいちいちむっとしていたが、大上先輩はふだんの営業とおなじように、ひたすら頭をさげていた。

おとなというのは先輩のように驚異の精神力を持ちあわせていなければならないのだろうか。

そんな生活が二週間ほど続いて、十二月も折り返し地点がすぎた。
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