キスはおとなの呼吸のように【完】
わたしが時計を確認すると、時刻はすでに深夜0時をまわっていた。

三本酒店の本来の営業時間はとっくにすぎている。

大上先輩が帰り、カズトとふたりきりになるチャンスを待っていたわたしは、完全に帰宅するタイミングをうしなってしまっていた。

すでに五時間近くも立ちっぱなしで足はくたくた。
炭酸の抜けたバドワイザーは手のなかでもてあましてしまっている。

次の日も酒屋を営業させなければならないカズトがカウンターのむこうからいった。
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