キスはおとなの呼吸のように【完】
14.先輩のくちびる
駅のまえでわたしは途方に暮れた。
静寂につつまれた真夜中の街に冷たい北風が強く吹いて、ばたばたとむなしい音楽を奏でていた。

この寒空のした、大上先輩を放置して、わたしだけさっさと部屋に帰るわけにもいかない。

だからといって……

わたしは周囲を見まわした。

カズトもいっていたとおり、インターネットカフェは残念ながら近所にない。
ファストフードや居酒屋にはいろうかとも思ったが、酔いつぶれて眠ってしまった人間をつれて飲食店にはいれば、多少なりとも店員さんにめいわくがかかる。
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