キスはおとなの呼吸のように【完】
「あっ。おはようございます」

遠くのソファからベッドの先輩にあいさつする。
大上先輩は上体を起こして、きょとんとしている。
やはり眠るまえの記憶はないらしい。
ここはどこといった感じだ。

「わたしの部屋です。終電をのがしたうえ、先輩が酔いつぶれて寝てしまったので運んできました」

わたしはつとめて感情的にならないように説明した。
大上先輩は、そこでようやく事態を把握したらしい。
あわててスーツのポケットからケータイを抜いた。
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