キスはおとなの呼吸のように【完】
わたしはベッドに倒れたまま、ケータイ電話のディスプレイとにらめっこした。

午後四時すぎ。

そろそろ三本酒店の立ちのみスペースがオープンする時間だったが、あんなことがあったあとでは、なんとなくカズトにあわせる顔がなかった。

くやしさと腹立たしさと情けなさがごっちゃに混ざった、自己嫌悪の感覚がわたしの心を支配していた。

だからといって泣くことも怒ることもできず、気持ちのもっていきようもなく、瞳をつぶってわたしは眠った。
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