キスはおとなの呼吸のように【完】
「そこはシールのようになっている。はがしてみな」

わたしはまんなかの切れ目にひとさし指の爪を引っかけ、裏面のうすい膜を一枚はがす。
ラインにそってした半分がうすくはがれ、べたべたする面が顔をのぞかせた。

「かなりべたべたしますね。ポストイットていうより、本当にシールみたいです」

「そう。シールみたいなんだ」

大上先輩は得意げにいう。
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