キスはおとなの呼吸のように【完】
「四葉屋、絶対落とすぞ」

この雰囲気のなかでは、土曜日のキスの文句がなんだということなんていってられない。
わたしはおおきくうなずいた。

「はいっ」

思いのほかにおおきな声がでてしまう。
大上先輩がここまで本気になっている営業で、わたしは以前の失敗のように、もうからまわりしたくなかった。

奥歯をぎりっとかみしめて、それから深く息を吸い、はやる気持ちをととのえた。
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