キスはおとなの呼吸のように【完】

「たしかにリースのものにべつのインクを使用して故障させてしまった場合、保証の対象外になって修理費を請求されかねませんものね。その点、家庭用のプリンターを安く買いとれば、そんなリスクはなくなる。今は本体自体が安いですから、故障するたび買いかえたほうがトータルで安あがりになるというわけですか」

「ええ」

笑いをさそおうとした大上先輩のもくろみは、まんまとはずれた。
兼田社長は短く返事をするだけで、くすりともしない。