キスはおとなの呼吸のように【完】
ポストイットを兼田社長に手わたして、ふたたびソファにもどろうとする。

わたしがふりむきかけたとき、ポストイットの内容に気がついた大上先輩が口をひらいた。

「お客さまの支払いは注文リストをデータ以外の紙にも残しているんですね」

後方からの援護射撃だった。

「ええ」

兼田社長はわたしから受けとったポストイットをノートにもどそうと、ページをめくりながら気のない返事をする。
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